市民の会について


1、「市民の会」の設立の経緯と、その目的
千葉県北西部、江戸川に面して流山市があります。私たちの活動はその南部に位置する「坂川」と「みやぞの野鳥の池」の水辺を中心に、坂川流域の流山市宮園、鰭ヶ崎と、対岸の松戸市の一部(大金平、幸田など)地域を主な対象としています。東京都心から約30分(つくばエクスプレス)という距離にあり、典型的な郊外住宅地ですが、近年は急速な高齢化に対する地域活性化が課題です。
協議で住民側が提出した「整備の基本計画」が大筋で採用され、「調整池はバードウォチを楽しむ池」、「坂川は親水性を高める」、「調整池と坂川を一体にして住民が利用できるよう整備」という考え方で環境整備が進められました。整備は平成22年に完成し、住民の応募で池はその後、「みやぞの野鳥の池」の愛称で呼ばれるようになりました。

 

手探りで始めた活動でしたが、次第に①水辺を訪れる人々が、何時も快適さと心地よさを感じられるような場所にし、それを維持・向上するための除草・清掃活動、②地域住民が水辺に足を向け、ごく日常的に時間を過す空間として利用することを促し、増やすためのイベント開催、③河川への住民の理解を深め、川の水を汚さないようにする住民意識を積極的に高める教育的な活動、の3分野に分類されるようになってきました。合わせて、水質浄化施設、洪水防止施設、水道水源確保のための施設など、河川関連施設の見学会を並行して開催し、河川への理解を深めることに努めました。



3、水辺の環境を快適に維持するため、定例で除草・清掃活動


先ず、①の環境維持の活動を説明します。完成時はきれいに整備
されていても、土手はひと夏で雑草に覆われてしまいます。一度そ
うなると、人々は寄り付かなくなります。そこで、完成直後から月
2回の定例日を決めて、池周囲の花壇管理と坂川土手の天端延長500メートルを対象に、除草・清掃活動を始めました。散歩道が何時も確保されているようになると、草は人々に踏まれて伸びが抑制されるようになりました。野鳥の池の周囲については試行錯誤の末、費用が比較的かからず管理が比較的簡単な芝桜を植えました。毎年4月~5月にはピンクのベルトが出来て、地域に大変喜ばれています。この結果、坂川の土手と野鳥の池はかなり広範囲のエリアから人々が訪れるようになり、地域のお気に入りの散歩コースとなっています。


3、イベント開催で、積極的に住民を水辺へ誘導



「鯉のぼり掲揚」は坂川の両岸にロープを張り渡して大型鯉のぼりを泳がせるほかに、小型のぬりえ鯉のぼりが、私たちの特徴
です。これが100匹以上も土手を彩ります。これには町の保育園
児も参加し、オープニングには鯉のぼりの童謡を歌ってくれます。
「水辺フェスタ」は、坂川土手を音楽の広場に変えるという趣
向で、地元の小中学校音楽部の生徒、地域の東洋学園大学のクラブ活動の学生のほか、これも地元の音楽活動グループが出演します。何の変哲もない坂川土手が、この日ばかりは音楽広場になるわけで、住民にも意外な土手の活用として驚かれ、喜ばれています。小中学校からは、子どもたちの活動を地域の人に見てもらえるのは有難い、と感謝されています。高齢者も含めて、地域の活性化に貢献していると考えています。
 
4、見学会、講演会で河川と河川水質へ理解を深める
3番目の③の河川への理解については、河川への理解と河川水質向上意識の涵養は、相互に関連して相乗効果があると考えています。これまで、北千葉導水路、ちば野菊の里浄水場、首都圏外郭放水路、渡良瀬遊水地、県立関宿城博物館、古ヶ崎浄化施設、松戸排水機場、我孫子市鳥の博物館のなどの見学会を実施しました。北千葉導水路については延べ3回の見学会を実施しました。古ヶ崎浄化施設は坂川の汚れた水を浄化して「ふれあい松戸川」に還流させる施設ですが、汚れた水が次第にきれいになって、ふれあい松戸川に流れ出る状況を見て、見学者は大きな驚きを隠しません。同時に、「水の浄化でこんなことまでやっているのか」と感心し、水を汚さない意識に確実につながりました。
環境学習との関連で、自然回復の進んだ野鳥の池の一角で、ヘイケホタルを復活させる活動も始めています。ホタル幼虫を飼育して春に池に放流し、ホタルとして発生するのを期待するもので、1年目の一昨年は失敗しましたが、昨年は1日に最大9匹のホタルを確認しました。今年はその発生数を増やすべく、26人のボランティアが幼虫飼育に取り組んでいます。最終的には、自然にホタルが発生するような状況にすることを目指しています。
この他、講演会開催、坂川と野鳥の池の水質検査も行っています。これまでの講演会で好評だったのは「江戸川の歴史と流山・松戸」「坂川の暮らしの住民」といった、やはり身近な話題でした。